1枚革でできる最長のベルト

今回使用のジェニュイン・シェルコードバンは、馬のお尻の部分の革なので、採ったままの形だとメガネのような形をしています。基本的に流通しているコードバンの多くは半裁、メガネを半分に切っている状態です。このベルトは、そのメガネの状態のままの特別な革からに最大限のサイズをカーブを描きながら裁断して作られます。ベルトの先端が1つ1つ自然なカーブを描いているのはそのメガネの輪郭の部分がそのまま出ている結果です。

 

カットは全て長さを取るために、手でカーブを描いて裁断していきます。そして、カーブがかかっていることによって、腰に巻いた時に、立体的に水平なポジションにフィットするようになっています。今では真っ直ぐなベルトが当たり前ですが、大昔のベルトはこの作り方であったため、全てカーブしていました。

レザー/コードバン

採用している革は馬革においては国産で突出したクオリティを誇る新喜皮革のシェルコードバンをクラスト仕上げしています。ベルトのリングを作っている本池大介さんが新喜皮革さんと縁が深いため今回特別にレザーの手配をお願いし、メガネのコードバンを手に入れることができました。いつも手に入る革ではないため、次回入荷はいつになるかわかりません。コードバンというとオールデンのような光沢のあるイメージを持つ方が多いですが、加工前のコードバンは光沢の無いマットな質感で、一見普通の革のように見えます。

 

その革に強烈にバフをかける専用の機械で磨きをかけると、誰もが知る鏡面のような仕上げになります。この仕上げをすればどの革でも光るというわけではありません。コードバンの馬革は、革の厚みや毛穴の無さなど、尻を鞭で叩かれて育つ農耕馬の持って生まれた性質が特徴として現れています。また、馬革は天然の原型を保つ力があり革の中で唯一、伸びても元に戻る機能を持っているためベルトに最適なレザーの一つと言えます。

 

 

 

 

 

 

リング ◎ Motoike Daisuke 本池大介

国内トップクラスのクラフトマンとして名高い本池大介が全て手作業して仕上げています。シルバー999の純銀の棒を手で曲げて円にして、ろう付けで留めています。この凹凸のある美しい仕上げは、その世界では「マチエールを施す」という技術で表現されていて、金属ヘラを使って地金を磨き上げることで、金属同士が擦れる部分だけが磨かれる事によって生まれる表情や、またその磨きによって地金がより締まり、剛性が上がるという特徴を備えています。 そして、この加工はラミネートではなく、シルバーの上に24Kのプレートを上に乗せて加工しています。このシリーズは2つのリングを共にヘラ磨きで仕上げています。また、もう一つの組み合わせでは、シルバー999の地金の棒に、約1cmの9金無垢の棒を繋ぎ合わせており、こちらは通常の鏡面ポリッシュ仕上げを施すことで、輪の中で存在感のある9金の無垢部分が強調されており、また合わせのヘラ磨きによるシルバーリングとの表情の対比を表現しています。ベルトを締める時に、リングを回転させて金が見えるように出してもいいし、出したくなければ隠すこともできます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ステッチ - - - - Naoko Watanabe
ナオコワタナベ



縫製はNaoko Watanabeという女性のクラフトマンが、コードバンの美しい部分を損なうことなく全て手で仕上げています。リング周りの縫製は、先端のエッジの部分がラフな仕上げなのに対し、きっちりと裁断と縫製で仕上げ、3ステッチが締めた時に下に来るように。手縫いならではの表現を生かしています。

 

 

 

クラスト仕上げ | Crust leather

このベルトは、素上げのコードバンを「クラスト仕上げ」しています。ヌメ革のことを英語だとサドルレザーと言いますが、基本的にはなめして、最低限のフィニッシュをしている状態のことをサドルと言います。いわゆる素の状態で、無染色・アンフィニッシュのような状態です。そして、「クラスト」というのは次の段階のことを言います。サドルレザーの状態に、さらに少しオイルを入れて、もう少しフィニッシュを進めた状態です。サドルレザーの状態だと、日焼けも色も激しく変化していきます。布で例えるならサドルレザーは生機(きばた)の生地のような状態です。それを、P下仕上げ(一回ソープで生機を洗いそれを乾かした状態のことをP下仕上げと言います)にした状態がクラスト仕上げです。

 

要するに必要最低限のオイルフィニッシュをかけたレザーの状態のことを「クラスト仕上げ」と言います。クラストは、素の状態から誰もが目にする加工済みの状態の中間であり、ここまで下処理をした上で、タンナーは何色にするかを調整していきます。クラスト仕上げからできるカラーは茶色から黒までのグラデーションだけで、市場にあるカラフルなレザーは一度漂白されて着色されています。こうしたことから、クラスト仕上げのコードバンというのは一般的には目にされない仕上げのレザーであり、大きな特徴の1つとなっています。ブラックタイプは黒に染めているため厳密には純粋なクラスト仕上げとは言えませんが、多少色を入れただけで質感は同じです。クラスト仕上げのこのベルトは、表面のバフをかけていないので、使っていくと艶が出てきます。

 

 

 

 

BELT PS-002B

BELT PS-001N

レザー/テンペスティ社製 ELBAMATT ( エルバマット )

トスカーナ地方の名門タンナー(イタリア語でコンチェリア)が作っているベジタブルタンニン鞣しのバケッタカーフレザーを使用しています。バケッタ仕上げはトスカーナ地方の伝統的な革なめしの技術で、特殊なオイルをガラスヘラのようなツールで素上げの状態のレザーにオイルを塗っていきます。そのオイルの配合はコンチェリアによって異なり、それぞれのレザーの特徴となります。この加工はトスカーナ地方でしかできない技術で、その総称をバケッタと言います。

エクストラロングベルト

このベルトの最大の特徴である非常に長いシルエット。バケッタレザーはコードバンのメガネのような大きさが取れないため、リンキング(縫い合わせて)長さを作っています。そして、単純に継ぐのではなくアクセントと耐久性を兼ね備えた新しいディティールを採用しています。

リンキングだけでも10種類以上の方法を試した結果、このデザインになっています。マシンで縫うよりも高い耐久性を持てる構造になっています。

 

 

 

 

 

 

 

リング ◎ Motoike Daisuke 本池大介

国内トップクラスのクラフトマンとして名高い本池大介が全て手作業して仕上げています。シルバー999の純銀の棒を手で曲げて円にして、ろう付けで留めています。この凹凸のある美しい表現はマチエールというハイエンドのジュエリーなどが採用する通常はプラチナなどでやる加工を施しています。金属ヘラで磨くことでこの質感が出来るのですがそうすると、全て綺麗にはならずに、ヘラの当たっているところだけがキラキラと光ります。さらに、純銀は柔らかいので、金属ヘラでこすることで、締めて剛性を高めるという役割も果たしています。

 

 

 

 

 

ステッチ - - - - Naoko Watanabe
ナオコワタナベ



縫製はNaoko Watanabeによって、手縫いならではの縫製技術やディティールを駆使して仕上げられています。玉留めのような特殊な縫製をリング留めの部分のデザインのポイントにしたり、リンキング箇所では、縫製部分をさらに蝋引き糸で覆うことで、ラインが入っているようなデザインに見せる仕様にしたり、エッジの部分には垂らした際にさりげないデザインのポイントになるようなハンドワークを取り入れています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リング ◎ DAN TOMIMATSU

DAN TOMIMATSUのオーダメーメイドのラインであるビスピークからリングを特注で号数を大きくしたものを発注して実現しています。925のスターリングシルバーでデザインして新たにキャストを作ったものです。こちらのリングは他のラインと対比した磨き上がったデザインになっています。

 

 

 

 

 

ステッチ - - - - Naoko Watanabe
ナオコワタナベ



縫製はNaoko Watanabeによって、手縫いならではの縫製技術やディティールを駆使して仕上げられています。玉留めのような特殊な縫製をリング留めの部分のデザインのポイントにしたり、リンキング箇所では、縫製部分をさらに蝋引き糸で覆うことで、ラインが入っているようなデザインに見せる仕様にしたり、エッジの部分には垂らした際にさりげないデザインのポイントになるようなハンドワークを取り入れています。

 

 

 

 

BELT PS-005B

BELT PS-006N

 

 


 

 

Taupe_Motoike Daisuke_Atelier Doorbell


革職人の家に生まれ、物心つく頃には革に触れ、遊び、生活の全てで革と向き合う日々を経て、家業として自然と革職人になるべく幼き頃より厳しい修行時代を過ごす。革の持つ素材としての可能性を探求し、革に構う日々を経て、青年期にはフィレンツェの工房にて修行期間を持ち、革だけでなく地金や彫金といった革以外のマテリアルに構いながら、あくまでも革細工師が作るジュエリーとは何かについて研鑽する日々を過ごす。 帰国後は家業の生業をブランド化し、そのブランドに置けるクラフツマンとして国内でも有数の実績を残す。 20年余にわたる自身の立ち上げたブランドを代表するクラフツマンとして期間を経て、本池大介 個人としてCraftsmanshipを超えたところにあるArtisanとは何かを表現するべく、あらゆる天然素材というmaterial / matièreに拘り抜くプライベートブランドとして、Taupe_Motoike Daisuke_Atelier Doorbellを立ち上げた。

 

 

 

Naoko Watanabe
ナオコワタナベ


幼少の頃より美術教師だった母親の影響で、手を動かしてモノを作る事や絵を描いたりする事が自然と生活の一部になっているような環境で過ごす。学生時代には手縫いで革を使った自身の作品作りを始めていた。 その後国内の空間デザイン事務所や服飾ブランド、アトリエでのインターンを経験した後、イタリアに渡りフィレンツェにあるDimitri Villoresiの工房にてイタリア伝統の皮革手縫いなどの技術を学ぶ。その後はフィレンツェにて様々なアトリエに出入りしながら、職人として働き、7年ほど滞在期間を経て帰国。その後自身のブランドを立ち上げて活動したのちに、現在は自身のブランドを休止し、様々なデザイナーやブランドの依頼を受けて完全ハンドメイドの物作りを続けている。

 

 

 

DAN TOMIMATSU


DAN TOMIMATSUのデザイナーである富松暖はプロダクト、ジュエリーから映像制作まで 幅広いフィールドでクリエイションを続けるデザイナーです。 DAN TOMIMATSUが提案するジュエリーは、幾何学形状を有機的に歪める事によって、 新たな見え方をするというコンセプトのもとに、素材となる地金のもつ特性や線、角、面や厚み、 そして重さといったどんなものにも宿る普遍的要素にデザインの本質を見出したものです。 極限まで削ぎ落とされたデザインは凛とした空気感を纏い、幅広いコーディネイトに 融和しやすいという特性を持ち、身につける人にそっと寄り添うように在ります。 また、全てのアイテムは世界最高水準の技術を持つ日本のジュエラーによって製作されており、 その技術によってもたらせる面の仕上がりや角の立ち方、仕上げそのものがデザインとして昇華されています。